2025.9.11

BIM建築の導入で何が変わる?設計・施工の現場が効率化される理由を紹介!

BIM建築の導入で何が変わる?設計・施工の現場が効率化される理由を紹介!

BIMという言葉をご存じでしょうか?

近年、建築業界ではBIMの導入が急速に進んでおり、従来の2次元CADに代わり、建築情報を3Dモデルとして一元管理できるBIMは主流となりつつあります。

設計から施工、維持管理に至るまで幅広く活用され、業務効率の向上に大きく貢献してきました。こうした背景から、多くの建築現場で「BIMを導入すべきか」「導入して何が変わるか」など関心が高まっています。

そんな関心に応えるため本記事ではBIMの基本的な定義と実際にできること、導入メリットなどを紹介。これからBIM導入を考えている方、関心のある方はぜひ参考にしてください。

BIMとは?建築業界で用いられるツールを紹介

BIMとは、コンピューター上の三次元の形状に、建物の属性情報などを内蔵した建物情報モデルを構築するシステムです。従来の図面では平面的にしか表現できなかった情報を立体的に可視化できるため、情報を一元管理でき、ミスを削減できるなど全体を通して活用が可能となっています。さらにクラウドやモバイル端末との連携により、現場での情報更新や関係者間でのリアルタイム共有も容易となっているのも話題となっている理由です。

従来広く使われてきたCADは、主に二次元の図面を作成するツールで情報はあくまで図面に紐づいたもので、施工や管理に直接結びつくものではありません。どちらも基本は設計図面を作成する際に使いますがBIMでは建築資材の寸法や数量、設備機器の仕様、仕上情報などを含めて3Dモデルを格納できます。そのため、BIMはプロジェクト全体の情報共有・マネジメントを可能にする仕組みとなっています。

BIMの導入で建築業界では何が出来るようになる?

BIM導入で建築業界では何が出来る?

BIMは導入にコストがかかりますが、実用化することで出来るようになることが多く主に出来るようになることは以下になっています。

3Dモデリング

BIMの基本は3Dモデリングです。建物の形状だけでなく、部材の寸法・素材・性能情報まで統合した「情報付き3Dモデル」を作成できます。これにより、設計段階から完成イメージを関係者全員が共通しやすくなり、意思決定がスムーズになります。

衝突検知

BIMモデルを用いると、設計段階で設備や構造の干渉を自動検知できます。たとえば、配管と梁がぶつかる、ダクトと天井高が確保できないなどの問題を事前に把握でき、施工中の手戻りやコスト増加を防ぎます。

工期・コストシミュレーション

BIMは「4D(時間)」や「5D(コスト)」の情報も付与が可能です。これにより、工程表とモデルを連動させて工期シミュレーションを行ったり、資材数量から見積りを自動算出でき、建物のライフサイクル全体で効率化を実現できます。発注者・設計者・施工者・管理者が同じ情報を参照できるため、情報共有の鮮度を格段に向上します。

設計・施工・維持管理まで一元化

BIMは設計で作成したデータを施工や維持管理まで引き継ぐことができるのが大きな特徴です。完成後も設備の点検・修繕計画に活用でき、建物のライフサイクル全体で効率化を実現できます。発注者・設計者・施工者・管理者が同じ情報を参照できるため、情報共有の精度が格段に向上します。

▼その他BIMについては以下の記事をご覧ください▼
https://fieldclub.co.jp/column/bim-spatial-design/

導入コストと必要環境

BIMの今後の展望

ソフトウェア費用

BIMを利用するには専用ソフト(Revit、ArchiCAD、Vectorworksなど)のライセンス契約が必要です。製品によっては数十万円〜数百万円規模の初期費用が発生し、さらに年間保守・アップデート料もかかります。クラウド型のサブスクリプション契約を利用すれば、月額・年額で費用を抑えられるケースも増えてきています。

教育・研修コスト

BIMは従来の2D CADと操作性や考え方が異なるため、社内での教育・研修が欠かせません。操作習熟に加えて、BIM活用フローを理解する必要があります。外部セミナーや専門講師の研修を受けると1人あたり数万円〜数十万円程度のコストが発生し、習熟までに数ヶ月を要することもあります。

導入・定着までの期間目安

ソフト導入から社内で定着するまでには一定の時間が必要です。小規模プロジェクトで試験的に導入する場合でも3〜6ヵ月程度、本格的に全社展開する場合は1〜2年かけて段階的に運用体制を整えるケースが一般的です。導入直後は効率が下がることもある為、段階的に社内標準やテンプレートを整えるのが定着の近道です。

導入時の注意点と問題点

BIM導入にはメリットが多いですが導入する際には注意が必要な点がいくつかあります。あらかじめ知っておき対策しておきましょう。

初期投資のコスト

BIMの導入にはソフトウェア、環境整備、研修などで特に初期費用で大きくコストがかかります。また、すぐに効果が出るわけではなく短期的なコスト増を見越した上で、中期的なメリットとのバランスを考える必要があります。

ITリテラシーが大切

BIMは高度なデジタルツールであるため、スタッフのITリテラシーが導入の成否を大きく左右します。基本的なPCスキルやクラウド利用に不慣れな場合、導入がスムーズに進まないこともあります。また「従来のやり方とのギャップ」に戸惑い、抵抗感がでるケースもあるため、教育・サポート体制を整える事が重要です。

その他の課題

  • データ共有体制の整備:関係者間でのデータ形式や管理ルールを統一しないと、情報が活かしきれない
  • 短期的な生産性低下:導入直後は操作に慣れるまで業務効率が下がる可能性がある。
  • 経営層の理解不足:現場だけでなく経営層もBIMの価値を理解し、投資判断や社内推進をサポートする必要がある。

BIMの今後の展望

建築業界では主流になりつつあるBIMは今後様々な分野と関わり進化していくはずです。現時点でも以下の活用方法が考えられています。

AI・IoTとの連携

近年はAIによる自動設計支援や、IoTとの連携が進んでいます。建物の利用状況や環境データをリアルタイムでBIMモデルに反映することで、エネルギー効率の最適化や設備の予防保全が可能になります。AIによる設計案の自動生成や施工進捗の自動検知も実用化が広がりつつあります。

メタバース・XRの活用

BIMデータをVRやAR、MRといったXR技術に展開することで、設計段階から没入型で建物を体験できるようになります。施主は完成前に建物内部を歩き回るように確認でき、施工者も現場でARを活用して正確な施工を支援できます。将来的にはメタバース空間での共同設計・打ち合わせが一般化する可能性もあります。

国際基準との互換性

BIMは世界的に普及が進んでおり、IFC(Industry Foundation Classes)といった国際標準フォーマットの整備も進展しています。国際基準との互換性が高まることで、海外プロジェクトとのデータ共有がスムーズになり、グローバルな建設市場での競争力強化につながります。

BIM建築のことならフィールド・クラブへ

BIMは設計から施工、維持管理まで一元管理できる次世代の建築ツールです。導入には初期コストや教育体制の整備が必要ですが、長期的には工期の短縮やコスト削減、品質向上といった大きなメリットをもたらします。さらにAI・IoT・XR、国際基準との連携により今後ますます進化していくと期待されています。

フィールド・クラブでは、BIMを活用した設計・施工の効率化をサポートしています。
BIM導入を検討される方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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