FRP造形って何?近年話題のFRP造形の特徴や価格、施工事例を紹介!

近年、建築やテーマパーク、商業施設などで注目を集めているFRP造形を知っていますか?
FRP造形は軽量でありながら高い強度と耐久性を持ち、さらに表現の自由度を兼ね備えており注目の技術となっています。もともと存在していた技術ですが、近年は3Dプリンターや新素材の進化によってさらに活用の幅が大きく広がりつつあります。
とはいえ、「FRP造形のメリット・デメリットが知りたい」「依頼するときの流れや価格感が分からない」といった疑問を持つ方も少なくありません。
そこで本記事では、FRP造形の基本知識や特徴、施工方法から費用の目安、導入フローまでをわかりやすく解説します。これからFRP造形の導入を検討している方にとって役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
FRP造形とは、基本と特徴を紹介!

FRP造形とは、繊維強化プラスチック(FRP)を用いて立体物や装飾物を形づくる技術のことです。FRPは樹脂にガラス繊維やカーボン繊維を混ぜて強化した素材で、軽量でありながら強度と耐久性に優れています。もともと船舶や自動車部品など工業製品の分野で活用されてきましたが、近年ではテーマパークの擬岩や擬木、商業施設の装飾、さらにはアート作品まで、デザイン性や表現力が求められる造形分野で幅広く利用されるようになっています。
FRP造形が選ばれる理由とデメリット
FRP造形は多くの現場で活用され、その利用シーンは年々広がっています。これほど選ばれてる使用者の代表的なポイントを整理すると以下の通りです。
メリット
・軽量性:コンクリート・金属に比べ圧倒的に軽く、大型の造形の施工・運搬が容易で屋外イベントに適している。
・高強度:ガラス繊維やカーボン繊維で補強されるため割れにくい。
・耐久性:水を吸収しにくく、雨風・紫外線に強く屋外の長期期間使用に向いています。
・自由度:他では再現できない曲面・複雑形状も造形可能でイメージをリアルに表現可能。
このような特徴から、リアルな見た目と機能性を両立できる造形技術として、様々な分野でFRP造形が選ばれています。
しかしそんなメリットの多いFRP造形にもデメリットがあります。
デメリット
・コスト:職人の手作業や型製作が必要な場合・1点物や大型造形はコストがかさみます。
・施工時の安全性:成形過程で樹脂やガラス繊維を扱うため防護服や換気設備がないと健康リスクにつながります。
・修理の難しさ:修理が必要な場合、同じ強度や質感で補修するのが困難であり専門的な技術が必要です。
FRP造形の補修・メンテナンスはどう行う?
FRP造形は軽量でありながら高い強度と耐久性を持つ素材ですが、屋外に設置した場合や長期間使用する場合には、風雨や紫外線の影響で劣化が進むことがあります。そのため、定期的なメンテナンスや適切な補修を行うことが長持ちさせるポイントです。ここでは、FRP造形の補修方法や劣化を防ぐための対策について解説していきます。
・ひび割れ・欠けの補修方法
FRP造形に小さなひび割れや欠けが発生した場合は、まず表面を研磨し、樹脂パテやFRP専用の補修材を充填することで修復できます。その後、仕上げとして塗装を施せば、強度と外観をほぼ元通りに回復させることが可能です。ただし、大きな破損や内部まで損傷しているケースでは、専門業者による再積層や補強といった本格的な処置が必要になります。
・屋外設置時の劣化対策
FRP造形を屋外に設置する場合、紫外線や雨風の影響によって表面が徐々に劣化していきます。こうしたダメージを防ぐためには、トップコートやUVカット塗料を施して表面を保護することが欠かせません。さらに、排水性を高めたり設置環境を工夫したりすることで、水の滞留や湿気による劣化を抑え、耐久性をより長く維持することができます。
・メンテナンスの頻度と注意点
FRP造形は耐久性に優れ、基本的にはメンテナンスフリーに近い素材ですが、屋外で使用する場合には年1回程度の定期点検を行うことが望ましいとされています。点検では、表面の塗装状態やひび割れの有無を確認し、早期に補修を行うことで耐久性を大きく延ばすことが可能です。また補修作業では樹脂を扱うため、必ず防護具を着用し、安全に配慮することが重要となっています。
上記のようなメンテナンスや劣化対策を行うことで、FRP造形を長期間にわたり美しい状態で保つことができ、結果としてトータルコストの削減にもつながります。屋外での長期利用を前提とする場合は、あらかじめ適切な施工と保護処理を行っておくことが重要です。
FRP造形の活用分野と事例
FRP造形は、軽量でありながら強度と耐久性に優れ、さらに自由な造形表現が可能なことから、幅広い分野で導入が進んでいます。従来の素材では難しい形状や大規模なデザインも再現できるため、建築やテーマパーク、商業施設、さらにはアートや展示会の装飾など、多彩な場面で活躍中です。ここでは、その代表的な活用事例を紹介していきます。
・建築、テーマパークの擬木、擬岩
FRPは、テーマパークや動物園、水族館などで見られる擬岩や擬木の造形に幅広く活用されています。コンクリートや天然木では再現が難しい複雑な形状も、FRPなら軽量に作ることができるため、大型展示や装飾に最適です。さらに、耐候性に優れていることから、屋外に設置しても長期間美しい状態を保てる点が、多くの施設で採用される理由となっています。
・大型看板、ディスプレイ、商業施設の装飾
商業施設やイベント会場では、大型看板や立体ディスプレイにFRP造形が多く活用されています。立体的でインパクトのある造形は視認性が高く、強い印象を与えることで集客効果の向上するため活用されてきました。またFRPは軽量なため施工や設置が容易で、施設内の常設装飾はもちろん、季節ごとのイベントオブジェとしても柔軟に利用できる点が大きな魅力です。
・船舶・車両・工業製品部品
FRPはもともと工業用途で発展してきた素材であり、現在でも幅広い分野で欠かせない存在です。船舶の船体や自動車の外装パーツ、住宅設備など、強度と軽さが求められる部品の製造に多く利用されてきました。さらに、造形技術を応用することで、デザイン性と機能性を兼ね備えた工業製品を実現できる点もFRPの大きな特徴となっています。
・アート作品・模型・趣味制作
FRPは造形の自由度が高いため、アート作品や大型模型、趣味の造形物といった分野でも活用されています。彫刻家や造形作家が追求する独自のフォルムを実現できるほか、軽量で持ち運びが容易なため展示会や舞台美術にも採用中です。表現力と実用性を兼ね備えた素材として、クリエイティブな分野でも注目を集めています。
FRP造形の手法と特徴を紹介
FRP造形には複数の成形方法があり、用途や規模、デザインの複雑さ、さらには求められる仕上がりの質感によって最適な手法が選ばれます。たとえば、1点物の造形や芸術作品のように細部まで表現力が求められるケースと、大量生産を前提とした部品や構造物の製造では、選ばれる工法が大きく異なります。
手法によって「製作コスト」「作業スピード」「耐久性」「重量」などにも差が出るため、事前に特徴を理解しておくことが重要です。ここでは、FRP造形でよく用いられる代表的な成形方法と、それぞれの特徴を分かりやすく紹介していきます。
ハンドレイアップ法
ハンドレイアップ法は、最も古くから利用されてきたFRP成形の基本的な手法です。型の上にガラス繊維を敷き込み、ローラーや刷毛を使って樹脂を手作業で含浸させながら積層していく方法で、シンプルながら幅広い造形に対応できます。
職人の経験や技術に左右される部分が大きいものの、その分自由度が高く、複雑な形状や一点物の造形に適しているのが特徴です。また、専用の大掛かりな設備を必要としないため、比較的導入しやすい工法でもあります。主に大型の擬岩やテーマパークの装飾、看板オブジェなど、迫力ある造形物の製作に広く活用されています。
・メリット:設備投資が少なく、小ロットや大型造形にも対応可能
・デメリット:手作業によるため仕上がりの均一性に差が出やすく、生産効率は低め。
スプレーアップ法
スプレーアップ法は、ガラス繊維を短く切り、樹脂と同時にスプレーガンで吹き付けることで成形する方法です。繊維と樹脂を同時に噴射できるため、ハンドレイアップ法に比べて作業効率が高く、短時間で広い面積をカバーできる点が大きな特徴となります。
均一性や仕上がりの精度はやや劣る場合がありますが、スピード重視で広範囲を積層したい場面に最適です。そのため、大型の壁面装飾やテーマパークの背景造形、舞台セットなど、広い面積を必要とする造形物によく利用されています。
・メリット:作業スピードが速く、大型造形物を効率よく製作できる
・デメリット:繊維がランダムに分散するため強度はやや劣り、仕上がりの表面精度も低下しやすい
真空成形(真空バッグ成形)
真空成形(真空バッグ成形)は、積層したFRPを真空バッグで覆い、内部の空気を抜いて加圧することで、気泡のない高品質な成形を行う方法です。樹脂が均一に浸透するため、仕上がりの精度が高く、強度・外観ともに安定した品質を得られるのが大きな特徴となっています。この手法は、特に強度や寸法精度が求められる分野で活用されており、航空機の部品や精密な工業製品の造形に最適です。また、耐候性や耐久性に優れているため、屋外で長期間使用する看板やパネルなどの製作においても選ばれるケースがあります。
・メリット:強度が高く、仕上がりが滑らかで精度が安定
・デメリット:専用設備が必要で、ハンドレイアップに比べてコストが上がる
RTM(樹脂注入成形)
RTM(樹脂注入成形)は、あらかじめ型の中にガラス繊維を配置し、その中へ樹脂を加圧して注入する成形方法です。型を密閉した状態で樹脂を流し込むため、気泡が少なく、寸法精度の高い製品を安定して生産できる点で用いられます。この工法は量産性に優れているため、自動車部品や船舶の構造部材、住宅設備など、強度と寸法精度が求められる工業製品の製造に多く採用されてきました。特に複雑な形状でも均一な仕上がりを実現できる点から、近年は建築やインフラ分野でも注目されています。
・メリット:仕上がりが均一で、複雑な形状でも安定した品質が得られる
・デメリット:型の製作にコストと時間がかかるため、小ロットや一点物には不向き
3D造形や最新技術との組み合わせ
近年、FRP造形とデジタル技術を組み合わせた新しい手法が注目されています。代表的なのが、3DプリンターやCNC切削機で製作した原型やモールドにFRPを組み合わせる方法です。デジタルデータを活用することで、従来の手作業では再現が難しかった複雑な形状や精密なディテールを、短期間で効率的に実現できるようになりました。こうした技術は、テーマパークのリアルなキャラクター造形、大型イベントのオブジェ、建築装飾やアート作品など、多彩な分野で導入が進んでいます。高精度なデジタル造形とFRPの強度・耐久性を組み合わせることで、デザイン性と実用性を兼ね備えた新しい表現が可能になっています。
・メリット:高精度かつ短納期。データからダイレクトに製作可能で、デザインの自由度もさらに拡大
・デメリット:導入コストは高めだが、長期的には効率化につながる
このように、FRP造形は従来の手作業から最新のデジタル技術まで幅広い方法があります。
用途や目的にあった施工内容に適した手法を知っておきましょう。
FRP造形の価格とコスト目安

FRP造形の価格は、サイズや製法、仕上げによって大きく変動します。
ここでは一般的な値段の目安を紹介していきます。
・小型造形(模型・小オブジェ)
卓上サイズの模型や小型オブジェの場合、製作費用の目安は数万円から数十万円程度です。主に試作品や展示用の一点物として依頼されるケースが多く、比較的手軽に導入しやすいのが特徴です。ただし、細部のディテール再現や仕上げ塗装を行う場合には、デザイン費や追加の加工費が上乗せされるため、最終的な費用は内容によって変動します。
・中型造形(看板・什器)
店舗の立体看板や商業施設内の什器など、中型サイズのFRP造形は数十万円から100万円前後が一般的な価格帯です。サイズが大きくなる分、強度を保つための型製作や内部補強が必要となり、その分コストも上昇してしまいますが、集客効果を狙った立体看板やディスプレイでは、この価格帯の制作が主流となっています。
・大型造形(擬岩・テーマパーク)
テーマパークの擬岩や屋外モニュメントなど、大型のFRP造形は100万円から数百万円以上かかることも珍しくありません。大規模な施工では搬入や設置費用も別途必要となり、全体のコストに大きく影響してきます。さらに、リアルな質感を再現するための特殊塗装や仕上げを加えると、価格がさらに上がる要因となります。さらに、FRP造形のコストはサイズ・成形方法・仕上げ内容・製作数量などによって大きく変動します。コストを抑える工夫も大切ですが、必要な部分まで削ってしまうと施工後に後悔につながる可能性がありますので、予算と品質のバランスを考え、計画的に導入することが重要です。
実際のFRP造形の導入フロー
実際にFRP造形の施工依頼をした際の導入までの流れは以下になっています。
1.ヒアリング
まずはお客様とコミュニケーションを取り、イメージをお伺いします。
2.デザインご提案
現地調査を行い設置場所や環境に適したデザイン・仕様までご提案します。
3.お見積もり
ご要望やデザイン案をもとに、詳細なお見積もりを提示します。
4.ご契約
ご契約書類を交わします。
5.製作
自社工場にてデザイナー監修の下細部までこだわり製作します。
6.納品
設置、取り付け施工、メンテナンスまでを一貫して行います。
FRP造形の導入を検討している方はフィールド・クラブへ
FRP造形は、軽量・高強度・高耐久・自由なデザイン性を兼ね備えた革新的な造形技術です。もともと工業分野で発展した素材ですが、現在ではテーマパークの擬岩・擬木や商業施設の立体看板、アート作品まで、幅広い分野で活用されています。さらに近年は3Dプリンターや最新加工技術との融合により、これまでにない複雑な形状や精密な表現も短期間で実現できるようになりました。こうした特性から、FRP造形は今後も建築・商業空間の演出やデザインにおいて、ますます需要が高まっていくと考えられます。
本格的にFRP造形を検討している方は、ぜひフィールド・クラブへご相談ください。
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