2025.11.19

不燃素材のBRG・GRGとは?建築設計で選ばれる理由・特徴・施工ポイントを解説

不燃素材のBRG・GRGとは?建築設計で選ばれる理由・特徴・施工ポイントを解説

建築物の安全性とデザイン性を両立するうえで、欠かせないのが「不燃素材」の選定です。特に商業施設や公共建築の内装設計では、法規に基づく不燃性能の確保が求められる一方で、空間演出としての美しさや造形表現も重視されてきました。
その中で注目を集めているのが、BRG(バサルト繊維強化アクリル樹脂石膏)GRG(ガラス繊維強化石膏)です。いずれも高い不燃性能を持ち、軽量・高強度で自由な造形が可能な素材として、建築意匠の分野で幅広く採用されています。

本記事では、建築基準法における不燃材料の位置づけから、BRG・GRGの特徴・メリット・施工上の注意点、さらに実際の導入事例や環境性までを詳しく解説します。

不燃素材とは?

不燃素材とは?

不燃素材は建築基準法第2条第9号および国土交通省告示によって定められた素材です。
火災時の安全性を確保するため、燃焼しにくさや耐火時間などの性能によって以下の3つに区別されています。

不燃材料:加熱開始後20分間燃焼せず、構造に有害な変形・破壊・亀裂を生じないもの
・準不燃材料:同条件で10分間燃焼しないもの
・難燃材料:同条件で5分間燃焼しないもの

不燃性能は、国交省による「不燃材料認定制度」によって公式に認定を受けた材料には「NM-0000」などの番号が付与され、天井・壁・床・間仕切りなどの内装制限部位に使用できます。特に、劇場・ホテル・病院などの特定用途建築物では不燃材料の使用が義務付けられています。この区分の中で、BRG(バサルト繊維強化石膏)およびGRG(ガラス繊維強化石膏)は、国交省の不燃認定を取得した「不燃材料」に該当します。

そもそもBRG・GRGとは?

BRG®工業会

BRG(バサルト繊維強化石膏)とGRG(ガラス繊維強化石膏)はどちらも石膏をベースに繊維を加えることで強度や耐久性を高めた高機能不燃建材です。一般的な石膏素材は成形性に優れる一方で、脆さや割れやすさといった弱点があります。これに対し、GRGはガラス繊維を、BRGは天然の弦部岩を溶かして作られるバサルト繊維を混ぜ込むことで、軽量で高強度、かつ自由な造形が可能な素材に進化しています。

不燃素材BRG・GRGの導入メリット

BRG・GRGは、従来の石膏では難しかった軽量・高強度・不燃・意匠性を兼ね備えた高機能建材となっており、安全性を確保しながらデザインの自由度を高められる点が最大の特長です。

軽量で高強度
ガラス繊維(GRG)やバサルト繊維(BRG)は、軽量でありながら高い強度を持つことが大きな特長です。GRGやBRGで補強された構造は、薄肉でも十分な引張強度と耐衝撃性を発揮し、特にBRGは、FRPとGRGの特性を併せ持ち、軽量でありながら変形しにくい寸法安定性を実現しています。そのため、天井装飾や高所での施工にも適しており、現場での取り扱いが容易で活躍シーンが広まっています。

造形の自由度が高くデザイン性に優れる
BRGやGRGは、FRP型やシリコン型、石膏型など多様な成形方法に対応しており、曲面や立体的な装飾を一体成形することが可能です。流動性の高い石膏スラリーと繊維補強によって、繊細なレリーフから大規模な造形まで精密に再現できるため、ホテルや劇場、商業施設のモールディングや天井装飾、柱意匠などに幅広く採用されています。

不燃性能による安全性
BRG・GRGはいずれも国土交通省の不燃材料認定(NM番号)を取得しており、建築基準法で定められた不燃部位での使用が可能です。石膏を基材とした無機素材のため燃えにくく、火災時にも有害ガスをほとんど発生させないため、公共施設や商業空間など、厳しい内装制限がある環境でも安心して採用できます。

吸音・耐候・環境性能などの付加価値

BRG・GRGは、単なる不燃建材にとどまらず、吸音性・耐候性・環境負荷の低減といった付加価値も持ち合わせています。特にBRGは天然由来のバサルト繊維を使用しており、環境負荷が低くリサイクル性にも優れたサステナブル素材かつ耐久性が高く、表面塗装やトップコート仕上げとの相性も良いため、美観を長期間維持できる点も設計上の大きなメリットとなっています。

不燃素材BRGとGRGはデザイン性も高い

BRG・GRGは、優れた造形性能と不燃性を兼ね備えた建材として、建築意匠の自由度を広げる素材として注目されており、特に内装デザインでは「見せる建材」として美観・安全性・軽量性をバランス良く実現します。

中でも流動性の高い石膏スラリーと繊維補強により、細部まで精密な成形が可能です。ホテルや劇場の天井装飾・モールディング・柱装飾・壁面レリーフなど、立体的なデザインに多く採用されていたりと、軽量で高精度なため分割施工やリニューアル工事にも柔軟に対応できます。

また、天井装飾やブランドサイン、音響壁、展示空間など意匠性と安全性を求められる空間で活躍しており、デザイン性と不燃性能を両立できる点が、選ばれる最大の理由となっています。

不燃素材BRG・GRGの施工上注意点と不燃性能維持

BRG・GRGは高い不燃性能を持つ素材ですが、その性能を最大限に発揮するためには施工時の取り扱いと加工方法に注意することが重要です。切断・接合・補修といった現場作業の際に、適切な手順を守ることで、長期的に安全性と美観を維持できます。

切断・穴あけ後に不燃性能は保たれるか

BRG・GRGは基材自体が不燃認定を受けているため、通常の切断や穴あけでは性能は損なわれません。ただし、切断面に可燃性の接着剤や塗料を使用すると認定条件を失う恐れがあります。防火区画や天井部では、不燃認定を受けた補修材・接着剤を使用することが重要です。

接合・固定・補修のポイント

現場では、金属製ビスやアンカーなど非可燃部材を使用し、剥離や変形を防ぎます。ジョイント部は膨張差を考慮して目地処理を行い、ひび割れや欠けは同系石膏材や指定補修材で修復します。再塗装時もトップコートを適切に施し、不燃性と美観を両立させます。

メーカー指示の遵守

製造元によって配合や樹脂含浸率が異なるため、施工マニュアルに沿った作業が不可欠です。特にJ-Art CraftのBRGは、脱型・接合・塗装に関する明確な手順が定められており、正しい施工を行うことで、加工後も国交省の不燃認定基準を保持できます。

不燃素材BRG・GRGの施工事例・導入実績

BRG・GRGは軽量で高強度、かつ造形性に優れた素材として、内装意匠・天井装飾・壁面造形など幅広い空間演出に用いられています。安全性とデザイン性を両立できるため、ホテルや商業施設、公共建築などで高く評価されています。

ホテルや商業施設では、ドーム天井やモールディング、照明カバーなどに採用され、軽量構造により天井荷重を抑えつつ立体的なデザインを実現しています。劇場やホールでは、曲面やレリーフの壁面装飾により、音響効果と美観を兼ね備えた空間づくりが可能です。さらに、展示ホールや公共施設では、不燃性能が求められる意匠パネルとして利用され、リブ状・曲面など自由度の高いデザインにも対応しています。このようにBRG・GRGは、意匠性・安全性・軽量性を兼ね備えた建材として、さまざまな空間で採用が進んでいます。

不燃素材BRG・GRGのメンテナンス・耐久性

メンテナンス・耐久性

BRG・GRGは耐火性と強度に優れた不燃素材ですが、長期的に美観と性能を維持するには定期点検と適切なメンテナンスが欠かせません。室内でも温度・湿度変化や振動により微細なひびが生じることがあるため、早めの補修が重要です。

経年劣化への対策

石膏系素材のため経年変化は少ないものの、表面や接合部の劣化には注意が必要です。直射日光や照明熱による変色、乾燥収縮によるヘアクラックは、塗装選定と湿度管理で防ぐことができます。また、大面積施工では反りや歪みを防ぐため、下地フレームやアンカーの設計を適切に行うことが大切です。

補修・再塗装のポイント

BRG・GRGは補修・再塗装が容易で、ひびや欠けは同系石膏パテや指定補修材で修復可能です。特にBRGは樹脂含浸構造により、再塗装後も密着性・発色性に優れます。また、塗装にはアクリル系やウレタン系などの非可燃塗料を使用し、不燃性能を損なわないよう仕様書に従って施工する事が重要です。

定期点検と維持管理

施工後は年1回の点検を行い、ジョイント部や取付金具の緩み・汚れを確認します。清掃は乾拭きまたは中性洗剤で十分です。基本的に5〜10年ごとの再塗装や軽補修を計画的に行うことで、初期の質感と不燃性能を長期的に保つ事が可能です。

不燃素材BRG・GRGの環境性、サステナビリティ

BRG・GRGは、不燃性能やデザイン性に加え、環境負荷の少ない建材としても注目されています。天然由来の素材と再資源化しやすい構造を持ち、サステナブル建築やグリーン設計に適した選択肢といえます。

リサイクル性・環境負荷の低さ
両素材は石膏(硫酸カルシウム)を主成分とする無機素材で、焼却時に有害物質を出さず再資源化が可能です。製造時のCO₂排出量も少なく、廃棄後は粉砕・再利用ができる点が特長で、特にBRGは天然鉱物由来のバサルト繊維を使用しており、ガラス繊維に比べてもエネルギー消費が少なく、長寿命で交換頻度を減らせるため、環境負荷の低減に貢献します。

持続可能な建材としての位置づけ
石膏は豊富な天然資源であり、エネルギー効率の高い循環型建材です。BRG・GRGは軽量で輸送時の燃費負担を抑え、現場での加工もしやすく、廃材を最小限に抑えられる点がメリットで、耐久性とメンテナンス性が高いため、建て替えや交換の頻度を減らしライフサイクルコスト削減にもつながります。

SDGs・グリーン建材への対応可能性
BRG・GRGは「持続可能な都市とコミュニティ」「つくる責任・つかう責任」など、SDGsの理念にも合致します。VOC(揮発性有機化合物)を発生させない無機素材で、室内空気にも優しい建材となっており、LCCO₂削減やグリーン建材認証制度(CASBEE・LEEDなど)への対応も可能で、環境配慮型建築に最適な不燃素材といえます。

不燃素材(BRG.GRG)についてはフィールド・クラブへ

BRG・GRGは、不燃性能・軽量性・造形性・環境性を兼ね備えた、現代建築に欠かせない高機能建材です。安全性を確保しながらデザインの幅を広げられることから、商業施設やホテル、公共建築など、幅広い空間で採用が進んでいます。

フィールド・クラブでは、これらの不燃素材を活用した内装造形・天井装飾・壁面デザイン・モニュメント製作などを多数手掛けています。自社工場による一貫体制のもと、BIMや3Dデータを用いた設計から造形・仕上げまでをワンストップで対応。意匠設計者の意図を正確に形にする高精度な造形技術と不燃素材に特化した施工品質で、安心してご相談いただけます。安全とデザインを両立する空間づくりをお考えの際は、ぜひフィールド・クラブへご相談ください。BRG・GRGを活用した不燃造形や特殊意匠デザインのご提案から、設計・製作・施工までトータルでサポートいたします。

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